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引き直し計算とは

過払金返還訴訟において、貸金業者に対して、過払金を請求する際にその金額を計算する過程のことです。

 

実際に過払金請求をする場合には、弁護士に依頼することになるケースが大半であり、この計算は弁護士がしてくれます。

 

依頼する側でも、その計算の大まかな仕組みは知っておく必要があります。

 

 

なお、引き直し計算の際しては、過去の取引履歴が必要になります。相手方である貸金業者が、取引履歴の開示に応じれば問題はないのですが、その開示に応じない場合には、請求者ご自身が、借入金額とその年月日、返済金額とその年月日を、記憶や契約書や弁済受領書などに従って、整理します。

引き直し計算の具体例・過払い発生前の場合

例えばH3.5.10に500,000円を借入したとします。

 

H3.5.22に第1回目の返済30,000円、H3.6.15に2回目30,000円、H3.6.28に第3回目30,000円の支払いをし、H3.8.9に第2回目の60,000円の借入をしたとします。

 

そうすると、最初に、H3.5.10に借入500,000円、残元金500,000円となります。

 

 

次に、第1回目の支払日H3.5.22に、30,000円の支払いがありました。

 

H3.5.10からH3.5.22までには12日あります。

 

利息制限法による上限利息は、元本が10万円以上100万円未満の場合18%ですから、その時点での残元金500,000円に対する利息を計算します。

 

利息は、500,000円×18%×12日/365日=2,985円(1円未満切捨)となります。残元金は、500,000円+2,985円(利息)-30,000円(弁済額)=472,985円となります。

 

 

第2回目の支払日はH3.6.15です。

 

第1回目の支払日から第2回目の支払日までは24日あります。

 

この期間の利息は、残元金×18%×24日/365日で5,598円です。

 

弁済額は30,000円ですから、残元金は472,985円+5,598円-30,000円=448,583円となります。

 

第3回目の支払日はH3.6.28です。

 

前回の支払日からは13日あります。

 

この間の利息は448,583×018%×13/365=2,875円です。

 

弁済額は30,000円ですから、残元金は、448,583円+2,875円-30,000円で421,458円となります。

 

 

第2回目の借入日はH3.8.9です。借入が60,000円

 

前回の支払日からは42日あります。

 

その間の利息は今までと同様の計算方法で8,729円です。

 

借入が60,000円ですから、残元金は421,458+60,000円=481,458円となります。

 

なお、この間の利息8,729円は、残元本には組入れずに未払利息として処理し、次回の弁済の際の弁済額の一部と相殺します。追加借入の場合の利息計算に関しては、弁済額がありませんから、次の弁済の時まで、その金額の相殺は繰越されることになります。

引き直し計算の具体例・過払い発生後の場合

借入開始から長期間が経過すると、元本の返済が終わります。

 

残元本が0からマイナスになります。

 

残元金がマイナスになると、過払金が発生していることを意味し、借り手の方が逆に貸し手に対して金銭の支払いを要求できるようになります。

 

このような状態になった後の引き直し計算の具体例を、以下に示します。

 

 

例えば、その後10年間取引が継続し、H13.5.10に第X回目の 30,000円を弁済し、残元金10,000円となったとします。

 

H13.5.22に第X+1回目の返済300,000円、H13.6.15に第X+2回目30,000円の弁済をしたとします。H13.6.28に第Y回目30,000円の借入をし、H13.8.9にX+3回目の30,000円の弁済をしたとします。

 

この場合、H13.5.10からH13.5.22までは12日ありますから年18%として残元本10,000円に対して利息が59円発生します。

 

H13.5.10時点での残元金に利息を加えると、10,059円となります。

 

これから弁済額の300,000円を引くと、-289,941円となります。

 

マイナスは過払金を意味し、債務者の方が債権者に請求できます。

 

 

次の借入日であるH13.6.15までには24日あります。

 

残元金はマイナスですから支払利息は発生せず、逆に債務者に受取利息が発生します。

 

受取利息の利率は民事法定利率が適用され5%です。

 

ですから、289,941円×5%×24/365=953円です。

 

なお、この受取利息は、計算上のものなので、未収受取利息として計上します。

 

 

次のH13.6.28の第Y回目の借入れまでには13日あります。

 

この間、支払利息は発生しません。

 

未収受取利息が953円ありますから、借入金とこの未収利息は相殺されます。

 

相殺された残りの29,047円が正味の借入金額となります。

 

この金額が、残元金に加算されますが、残元金はすでにマイナスですから、債務者側の過払債権の減少という形であらわれます。

 

金額で表示すると-289,941+29,047=-260,894円となります。

 

 X+3回目の弁済のあったH13.8.9までには42日あります。

 

この42日間に、債務者が受ける利息は260,894×5%×42/365=1,501円です。

 

この金額は未収利息として計上されます。

 

また、残元本が0円であるにもかかわらず、30,000円の弁済があったので、過払金となり、過払金債権が260,894+30,000=290,894円(残元本が-290,894円)となります。

裁判で必要な引き直し計算

このようにして、一連の取引履歴から引き直し計算書を作成して、取引終了時点の過払金債権の金額と未収受取利息の金額を明らかにします。

 

さらに、その明らかにした過払金額に対して、取引終了日の翌日から支払日までに発生する過払金債権の金額に対する年5%の法定利息を請求できます。

 

裁判の際には、この書面に基づいて請求額を決め、相手方に対してその支払いを求めていきます。

 

このように過払い金請求の金額を決める際には法的知識が必要です。
専門家に依頼をすることで適正な価格で提示することができます。

 

過払い金請求に強い専門家にまずは相談しましょう。

 

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