仕事休憩中に事故!!個人の車だけど会社はどこまで責任とってくれるの?

川中さんは外回りのセールスマンです。

きょうは金曜日。

「きょうを頑張れば明日から休み。」

川中さんは明日ドライブの予定がありました。

最近付き合い始めた彼女との初めてのデートなので、ちょっとワクワクしているのでした。

突然の事故

きょうも元気に営業に出かけた川中さんですが、会社に戻る途中信号待ちをしていたときに後ろの車に追突されてしまいました。

追突した人は吉田さん。彼女は営業ウーマンです。

警察

車は吉田さん所有のもので、彼女は会社の営業のために自分の車を使っていたのです。

吉田さんは昼食のため自宅に戻る途中でした。

午前のクライアントさんとの話が長くなってしまい、午後からの予定もあることから少し焦っていたのです。

この事故で当初軽い打撲傷だと考えていた川中さんでしたが、意外に肩と首のダメージが大きく、3週間の入院が必要になってしまったのです。

仕事に穴を開けることになってしまった川中さん、仕事もできず、明日のデートもダメになり、がっかりです。

また、セールスマンとして川中さんはトップクラスなのです。

川中さんが抜けるということは会社にとっても大きな損失です。

会社も川中さんも「この損失をどうしてくれる。」と怒りでいっぱいです。

川中さんと会社は吉田さんとその会社から駆けつけた社員に怒りをぶつけています。

さあ誰に、どのような請求ができるのでしょうか?

会社によっては業務に個人所有の車持ち込みを求めるところもあります。

だとしたら・・・どうでしょう?

会社が責任を負うことになるような気がしませんか?

これが会社の車で事故を起したのであれば、問題なく会社に請求できると思います。

追突した吉田さんの車が個人の所有というところが今回の問題点です。

これは民法715条に規定されているのです。

従業員が会社の業務に関連して第三者に損害を与えた場合、従業員だけでなく会社に対しても損害賠償を請求できるとされています。

ですから、吉田さんが個人所有の車を運転していて起こした事故であっても、会社の業務で営業をするために使用していたのであれば、事故の被害者である川中さんはこの民法の規定に従って吉田さんと彼女の勤務する会社に損害賠償の請求ができるのです。

事故

しかし、少し気になるところがあります。

吉田さんは昼食のために自宅に戻る途中だったのですよね。

厳密に言うとこれは業務ではありません。

では、この時間は業務外のものとして認められないのでしょうか。

そんなことないですよね。業務の間の昼休みということで勤務時間同様に補償されるのではないでしょうか。

そうなんです。

裁判では一般的に被害者保護の観点から会社が負う責任の範囲を広くしています。

吉田さんは全くの私用運転ではなく、仕事の合間に昼食をとるために自宅に戻る途中だったということで、業務の範囲内と考えられるのです。

もうひとつの問題として、セールスマンとして川中さんはトップクラスでした。

3週間の入院のため会社にとっては大きな損失を受けることになりました。

会社は「この損失をどうにかしてほしい」と考えているわけですが、この損害も吉田さんの会社に請求できるのでしょうか?

残念ながら今回のケースではこの損失請求はできないんです。

「どうしてなんだ。」という声が聞こえてきそうです。

このような場合、「会社と被害者が一体であると認められる関係であれば請求できる」のですが、今回のケースはそうではないですよね。

これはどういうことかというと、会社とは名ばかりで実際は川中さんが社長兼社員である個人会社を一人で切り盛りしている、つまりこの事故の被害者と会社が一体、同一と考えられる場合であれば認められるのです。

一人経営者兼社員が被害に遭うと当然経営が立ち行かなくなるわけで、こういった場合は賠償が必要になります。

稀なケースでそうそうあることではないのですが、注意が必要です。

川中さんの会社としては、なかなか納得しがたいと思うのですが、多くの従業員を抱えているのですから、こういった不慮の事故が起こることも考えて、備えをしっかりしておくことが必要です。

吉田さんも事故はどんな理由があったとしてもそれはただの言い訳にしかなりません。

自分のふとした不注意が川中さんや彼の会社、そして自分が勤める会社にも迷惑をかけてしまったのですから大いに反省しないといけませんね。

川中さんが個人事業者であれば、その分の損害賠償が生じる危険もあったわけです。

ハンドルを握る時には落ち着いて・・・。

川中さん、今回は本当に大変でした。早くケガが治りますように。

そうそう、デートの予定がダメになってしまいましたね。

その損害賠償は残念ながらできません。

どうぞこの事故をきっかけにさらにさらにおふたりが強い絆で結ばれますように心から祈ります。

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