メールでの叱責はパワハラになる?

香山さんは48歳。

電気機器メーカーに総合職として入社後、同社の営業部に所属し、現在は課長代理として勤務しています。

香山さんの人事評価は3年連続C評価です。つまりあまりいい評価ではないわけです。

元々口下手なうえ、そのために溜まるストレスをお酒で発散しようとするためついつい飲み過ぎ、酒にまかせて上司の悪口などを言ったりするものですから、同僚も香山さんと飲みに行くのを避けるようになりました。

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私の上司にもいますね、こういう人。飲み過ぎてお店からそのまま出勤してくるのです。

職場での態度・成績

アルコールは残っている、着替えはしていない、当然女の子からは「近寄らないで。」という冷たい視線を浴びることになります。

空気を読めない彼は

【香山さん】「なんだ、みんな、冷たいね。俺たちチームでしょ!一致団結しなきゃ。」

なんて言うものだから総スカンを喰らってしまうわけです。

香山さんもまさにそういう人なのです。

所属部署のナンバー3にもかかわらず営業成績は悪く、大して努力をしているようにも見えません。

同じ部署の従業員もこういった香山さんの態度に不満を抱いていました。

課長に相談し、注意を促すも何の改善も見られなかったことから、部長に直訴しました。

上司の部長との面談

大木部長は香山さんと面談をしました。

【大木部長】「君ね、課長代理としての自覚はあるのかい?やる気はあるの?」

【香山さん】「あるんですけどね、あいつら使えなくて・・・。一生懸命やってますよ、俺だって。」

【大木部長】「どう一生懸命やってるの?具体的に。」

【香山さん】「・・・・・やってるって言ったらやってるんですよ。」

話し合いにもなりません。

香山さんの仕事への姿勢が変わるとは思えないものの、少しの期待をもってしばらく様子を見ることにしました。

ところが3週間経っても相変わらずぼんやりし、遅刻をし、ふらっと離席していなくなります。

会議の時にも何の意見も出さず、指されても

【香山さん】「皆さんがおっしゃるとおりです。」を繰り返すばかり。

ある日、前日の深酒がたたり、遅刻して午後から出勤してきた香山さんに大木部長は怒りを覚えました。

香山さんを叱ることで他の従業員の溜まりに溜まった不満に応え、香山さんにもっと真剣に仕事に取り組んでもらいたいと考えました。

我慢限界!メール配信

怒りに震えながら同じ部署の他の従業員25名を「CC」の宛先に加え、香山さんにメールを送ったのです。

【大木部長】

「仕事に対する意欲が無いのならここを去るべきです。ここの部署にとっても大きな損失なのです。部下のやる気を削ぎ、怒りを招き、あなたは何のためにここに毎日いるのでしょうか?あなたの給料で何人の従業員が雇えると思いますか?課長代理のあなたよりももっともっと他の従業員の方が業績を上げています。これ以上ここに迷惑をかけないでください。」

「無断での遅刻。先日は業務時間中に抜け出して所在不明。病院に行ったと言っていましたが、病院の領収書などの提出はなされていません。なぜ、遅刻や離席することを部署の人に伝えないのですか?伝えるように決まっているはずです。仕事はチーム作業なのです。自覚がないのにもほどがあります。」

香山さんの日頃の態度からすると、香山さんの部下を含めた同僚にこのようなメールを送って、会社の毅然とした態度を示すことは間違っているとは言い切れない気もします。

しかし、香山さんは思います。

【香山さん】「あまりにも厳しい。これはパワハラじゃないか。」

大木部長の怒りを示すかのように香山さんのパソコンのモニターにはポイントを拡大し、太字で赤文字のメールの文面が映しだされていました。

どこにでもいる香山のような人

先にも言いましたが、いるんです。

私の職場にも。

腹が立ちますよね。

「ねぇ、明日会議があるんだけど課題を終わらせていないんだ。きょうの5時までにこれやってくれない?お礼に御馳走するから、例の焼き鳥屋で。」

ぶん殴りたくなりますよ。

こんなやつ。

「それって、あなたの仕事でしょ。ご馳走?焼き鳥屋で・・・あなたの酒の相手をするほど暇じゃありません。バカにするのもいい加減にしろ。」

とイラッとしながらも

「すみません。今自分の仕事で手一杯なので・・。すみません。」と早口で答え、さり気なく離席するのです。

ですから大木部長の気持ちも他の従業員の気持ちもよくわかります。

今回のケースについて

しかし、この方法はどうかな?と思うのです。

大木部長は冷静に書いたつもりでも、メールでの叱責は誤解を招きやすいのではないかと思います。

また、「CC」の使い方にも配慮がほしいところです。

会社は従業員に対して、指導監督を行う権限があります。

大木部長は自分の部の部下である香山さんに対して指導監督できるのですが、内容や方法において不合理なものであってはなりません。

香山さんの業績が上がるように指導をすること自体何の問題もないわけで、今回のケースのようにメールは業務に対する指導であり、香山さんの業績の向上を促すという目的のためと考えると正しい指導のように思えます。

この指導に対し、香山さんは「パワハラ」ではないかと考えています。

結果から言うと、香山さんにその原因は多分にあったとしても、パワハラと判断されてしまうことが多いようです。

大木部長の香山さんに対して役職に見合った仕事の量をきちんと処理し、役職に見合った行動を求めるという行為は正当なのです。

しかし、大木部長の送ったメールに見られる

「仕事に対する意欲が無いのならここを去るべきです。」

「あなたは何のためにここに毎日いるのでしょうか?あなたの給料で何人の従業員が雇えると思いますか?」

といった文言はどうなのでしょう?

退職勧告とも受け取れますし、侮辱的な表現ですよね。

そう、私もそうなんですが、毎日イライラしてこういった人と接していると、冷静になれないんです。その感情が爆発してこういった表現の許容限度を超えて名誉毀損にあたるような発言をしてしまうこともあります。

メールというのは便利なアイテムです。

ただ、直接に話すのと比べると真意が伝わりにくい、文字になってくると送信者が思う以上に受信者にとって深刻なものに思えるという点があります。

しかも今回のように「ポイントを拡大し、太字で赤文字のメールの文面」だったらなおさらです。

叱責のメールは内容が軽微な場合はいいとしても、重い叱責の場合は口頭の方がいいのではないでしょうか。

もちろんこの場合も辛辣なことばは避けるべきだと思います。

メールには「CC」機能がありますが、今回のようにむやみに他の従業員を入れない配慮も必要だったのではないでしょうか?

香山さんが「ひどい」と感じたのはここにもあったと思います。

自分に対する叱責が他の部下にも知られたことは、香山さんのプライドを著しく傷つけたでしょう。

大木部長は香山さんを奮起させたいと考えたのかもしれませんが、香山さんとしてはかなりショックだったと想像されます。

 パワハラ問題は繊細です。指導や叱責のメールは対象者のみに送る、できれば口頭で相手に注意するという配慮がまずは必要ではないかと思います。

注意される方も受け入れやすいですしね。

でも、まずはしっかり役職に見合った仕事をやってほしいと思うのは私だけでしょうか?

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