相続では、相続人の一人が独り占めするケースがあります。

 

特に、親を囲うようにして一緒に暮らしていた親族や、親の財産を一人で管理していた親族が独り占めしようとすることが多いです。

 

全ての相続人に相続の権利があるので、そんなことは許されません。

 

また、遺言に「全ての財産を一人の相続人に渡す」と書いてあることを理由に遺産分割をせず、一人が独り占めするようなケースもあります。

 

このような遺言がある場合でも、きちんと対処すれば一定の割合の遺産を受け取ることができます。

 

ここでは、遺産を独り占めしているケースとその対処方法について紹介します。

1. 仲の悪い姉が親の財産を独り占めしたケース!

 

6年前に父が他界し、母も1ヶ月前に亡くなりました。

 

父が亡くなった際、預貯金4千万円と持ち家がありましたが、それらは全て母が相続しました。

 

また、母は自分の退職金を使って株で大儲けをしていたので、父の財産とは別に2億もの預金がありました。

 

生前、私は母からそのことを聞かされていたのです。

 

しかし、母が亡くなる3か月前くらいのときでした。

 

姉から母の状態が良くないとの連絡があり、父の葬儀から一度もあっていなかった姉に会うことになりました。

 

その際、母が父の財産を使い込んでしまったこと、母自身の預貯金も全くないことを聞かされたのです。

 

その時は言われたままに信じてしまったのですが、母が亡くなる1ヶ月前に母から手紙と実印が届きました。

 

母名義の不動産と母名義の預金通帳の実印です。

 

手紙には、姉と私、妹の3人で財産を分けるように書かれていました。

 

そして母が亡くなったのですが、死後、姉から実印の要求があるかと思いきや、葬儀が終わりひと段落しても相続について何も言ってきません。

 

姉に問い合わせると、母の財産なんて不動産くらいで他にはないと言うのです。

 

不動産は一緒に暮らしていた姉が受け取るとも言っています。

 

預貯金についても、おそらく、母の生前中に勝手に全て引き出した気もしています。

 

当然、私は3分の1の権利はあると思うのですが、姉に連絡しても「ない」としか言わず、どう要求したらいいのか。

 

私は実印を持っていますが、実印を持っていても意味がないのでしょうか。

 

 

1-1 遺産調査と遺産分割調停や裁判を検討する!

 

基本的には、銀行は亡くなった方の口座は亡くなったこと把握した時点で口座を凍結します。

 

凍結されると、相続人の一人が単独で引き出すことはできません。

 

他の相続人の委任状や遺産分割協議書が必要となります。

 

よって、本当に母親の財産があるとすれば、本来ならお姉さんは妹2人の協力がないと引き出せないのです。

 

しかし、母親が亡くなっても連絡をしてこないうえ、「財産はない」と言っていると言うことは、本当にないか、または母親が亡くなる前に口座から現金を引き出したと推測できます。

 

ちなみに、母親の実印は亡くなった時点で無効となるため、それがないと引き出せない、ということでもなく持っていても意味はありません。

 

不動産の名義については、おそらく、母親名義のままにしているのでしょう。

 

売却するとなれば名義変更が必要ですが、住み続ける場合には、名義変更しなくても問題ありません。

 

まずやるべきことは、預貯金が本当にないのか調査することです。

 

母親がどこの金融機関を利用していたかを調査してください。

 

利用していた金融機関は、相続人であれば誰でも母親の預貯金残高や取引明細を開示してくれます。

 

取引明細を確認すれば、引き出したかどうかが明らかになります。

 

なお、このような調査は、裁判所ではしてくれません。

 

遺産探しは自分でやるしかないのです。

 

不動産の名義がどうなっているかは、名寄せ台帳等で確認ができます。

 

市役所へ申請してください。

 

自分では調査が困難だと感じたら、弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。

 

また、調査の結果、財産があるとわかった場合には、遺産分割を求めましょう。

 

相手が応じない場合には、裁判所での調停あるいは裁判を検討してください。

 

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2. 姉が叔母の遺産を独り占めしたケース

 

先日、叔母(母の姉)が亡くなりました。

 

叔母には夫がいましたが、すでに亡くなっていて子供もいません。

 

叔母の妹となる母親もすでに亡くなっているため、親戚は父と私と私の妹だけです。

 

母親も亡くなり、叔母とは離れて暮らしていたこともあり、私たち家族は叔母とは疎遠でした。

 

叔母は早くから介護付きのマンションを購入し、私たちを頼ることなく暮らしていたのです。

 

そんな叔母が亡くなり、葬儀を私たち姉妹でおこなったのですが、何と!妹が叔母の遺産を一人で全部相続したのです。

 

不動産と預貯金等で2億もありました。

 

私には一切何もありません。

 

姉妹の関係はこの件で一気に悪くなりました。

 

叔母とは疎遠でしたが、妹も同様です。

 

なぜ妹だけなのか意味がわかりません。

 

私にも権利があるなら分けてほしいというのが正直なところです。

 

ただ、妹が言うには、遺産を全て譲るという遺言書があると。

 

遺言書がある場合、私は叔母の遺産を相続できないのでしょうか。

 

3. 甥や姪も相続人になることはある!遺言書があるかどうかがポイント

 

叔母さんに、夫や子や直系尊属がいない場合、兄弟姉妹が相続人となります。

 

しかし、兄弟姉妹がすでに死亡している場合には、その子供(甥、姪)が相続人となります。

 

よって、姉妹に母親(叔母の妹)が生きている場合には母親が相続人です。

 

母親が亡くなっている場合には、姉妹が相続人となります。

 

なお、姉妹の父親については、叔母との血縁関係はないため生存していても相続権はありません。

 

今回のケースでは、母親(叔母の妹)がすでに亡くなっているので、叔母の遺産は相続人となる姉妹(姪っ子)の二人で2分の1ずつ分けるのが基本です。

 

しかし、遺言書がある場合には遺言書のとおりとなります。

 

通常、「一人の相続人に全財産を相続される」という遺言書があっても他の相続人には遺留分が認められて一定の相続分を主張できます。

 

この遺留分の主張が認められるのは、亡くなった人の配偶者、子供、父母のみです。

 

兄弟姉妹が相続人の場合には認められません。

 

よって、姉には遺留分の主張はできず、叔母の遺言で「妹に全財産を渡す」という遺言書がある場合、姉は叔母の遺産を受け取ることはできません。

 

まずは、本当に遺言書があるのかを調査し、遺言書があるなら有効なものかどうかを確認しましょう。

 

4. 全ての財産を一人の相続人に渡すという遺言書を理由に独り占めするケース

 

父が亡くなりました。

 

父は生前、長女を小さい頃から特別に可愛がっていました。

 

事あるごとに長女に資金援助をして、私には一切ありませんでした。

 

そんな父は、亡くなる前に母と長男の私を無視して、長女だけに全財産を渡すという遺言書を残していたのです。

 

それを知っていたのは姉(長女)だけですが、無理やり書かせたものではありません。

 

私と母は、遺言書の存在を葬儀の時に知らされました。

 

その時に遺言書を見せてもらいましたが、有効な遺言書でした。

 

私は相続できないにしても、残された母が可哀想です。

 

母はパート勤務ですし、今後の生活を考えると多少の遺産を受け取れたらと。

 

有効な遺言書がある場合、母と私(長男)にはどうすることもできないのでしょうか。

 

4-1 遺留分を主張すれば遺産を受け取れる

 

全ての財産を長女に渡す、という有効な遺言書がある場合でも、長女は独り占めすることはできません。

 

なぜなら、法定相続人には遺産を相続する権利があり、遺言書がある場合でも最低限の遺産を相続する権利があるのです。

 

この最低限の相続の権利を遺留分と言います。

 

全ての財産を長女に渡すという遺言書は、遺留分を侵害していることになります。

 

よって、遺留分を主張(遺留分減殺請求)すれば、亡き父親の遺産を相続することができます。

 

遺留分の割合は民法1028条で定められています。

 

今回のケースの場合、母親が主張できる割合は1/4、長男は1/4÷人数となり以下のようになります。

 

<6000万円の遺産がある場合>

 

母親:6000万円÷1/4=1500万円

 

長男:6000万円÷1/4÷2(子供は長女と長男の二人)=750万円

 

まずは、長女に対して遺留分について説明し、遺産を分けるように請求してください。

 

もしも応じない場合には、相手方の所在地を管轄する家庭裁判所に調停を申し立てるか、訴訟を起こすことを検討してください。

 

 

 

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