亡き父の愛人登場で相続トラブルに!愛人や内縁の妻がいる場合の相続事例

相続においては愛人問題もよくあるケースの一つです。

 

お葬式にいきなり現れて、「私にも相続権がある」といったケース。

 

更に、丁寧に遺言書まで用意してきたら・・・

 

ここでは、相続権を主張する愛人が現れたらどうなるのか?

 

愛人にも財産が回るようなことはあるのか。

 

それぞれ事例をもとに説明していきます。

1. 「愛人に相続させる」という遺言書があるケース

 

父親が10年の闘病生活を経て亡くなりました。

 

父には病気になる前から愛人がいて、闘病生活中も不倫関係を続けていたようです。

 

母親は病気になった父を見捨てることができず、離婚せずにきました。

 

しかし、父が亡くなってすぐのことでした。

 

愛人は、父が書いたという「全財産を愛人に残す」と書かれた手紙を送ってきたのです。

 

父が残した財産は、家と預貯金。

 

その全てを愛人へと。

 

しかし、家を買うときの一部の費用は母親が負担していて、父親名義になっている預貯金の中には母の貯金も含まれています。

 

確かに、手紙には「〇〇に全財産を渡す」と記載されていました。

 

本当に全財産が愛人の手にいってしまうのでしょうか。

 

1-1 手紙やメモ書きで書かれたものは遺言書として有効なの?

 

遺言は、民法(民法第960条)で定められた方法に従わなければ無効です。

 

遺言にも種類がありますが、自身で作成する「自筆証書遺言」の場合で説明します。

 

自筆証書遺言の場合

 

遺言の全文・日付・遺言作成者の氏名が自書されていて、押印 (実印以外でも可)してあれば有効です(民法第968条1項)。

 

どんな用紙を使用していてもOKですし、公正証書のように行数や文字数の制限もありません。

 

よって、手紙やメモであっても遺言としての条件を満たしていれば、法律上は有効な遺言となる可能性があります。

 

また、法律で定められた要式になっていなくても、死因贈与契約として認められる可能性があります (最高裁S32年5月21日判決)。

 

有効無効のポイントは、本当に被相続人(亡くなった方)が書いたもので、財産の内容が明確か、日付や押印はあるか、ということです。

 

その点を確認して、自筆証書遺言の条件が満たされていれば、有効な遺言とされます。

 

ただし、有効な遺言であっても、「全財産」が赤の他人に相続されることはありません。

 

 

1-2 全財産を他人へ相続させるという遺言があっても相続人には最低限の権利がある

 

「愛人に全財産を渡す」という有効な遺言書があったとしても、妻や子供といった相続人になる方には最低限の権利が認められています。

 

これを遺留分といいます。

 

遺留分を愛人に主張することで、全財産を奪われてしまうようなことは防げます。

 

遺留分の説明はこちらを参考にしてください

 

ただ、遺留分のことを知っても、納得が行かない人もいるでしょう。

 

不倫されたのに「結局は愛人に財産を持っていかれるのか」と。

 

大丈夫です。

 

法律はそんなに酷ではありません。

 

そもそも、妻子がいるのに不倫していた場合、公序良俗(社会での秩序や道徳観念)に反した行為です。

 

愛人は、公序良俗に反した立場にあるため、保護する必要性がないのです。

 

結果的に、愛人へ全財産を渡すという遺言書の内容は無効となる可能性があります。

 

さらに、夫が亡くなった後であっても、愛人に対して不法行為に基づく損害賠償請求(慰謝料請求)もできます。

 

損害賠償請求は相続とは関係のないことですが、愛人の立場は弱いということです。

 

【詳しくはこちら】法律で使われる不貞行為って何?

 

なお、もしも愛人ではなく友人やお世話になったような人に全財産を渡す、という場合には遺言は有効となり、他人に財産が渡ることになります。

 

2. 愛人が内縁の妻のようなケース

 

父にはだいぶ前から愛人がいます。

 

母は不倫関係を黙認していたわけではありませんが、何を言っても離婚には応じない父でした。

 

また、母が離婚を切り出すと母に暴力を振るうこともあったため、母は父の不倫を知りつつも我慢してきたのです。

 

そのような中で母は5年前に亡くなりました。

 

父はその後も愛人と暮らしています。

 

愛人とは結婚はしていませんが、父の友人などは母の死後、再婚したと勘違いするような関係です。

 

そして、母の死後から10年が経つ頃、父も亡くなりました。

 

父の預金通帳などは愛人が管理しています。

 

こちらに返す意思がないのか、愛人からは全く連絡がありません。

 

返してほしいのですが、父の愛人は内縁の妻として相続の権利があるのでしょうか。

 

2-1 内縁の妻に相続の権利はあるのか?内縁の妻の立場は弱い

 

愛人との関係が長く、実際に同居して連れ添った期間が10年となるような場合、内縁の妻となる可能性があります。

 

内縁の妻とは、結婚せずに共同して生活している実態がある男女関係のことです。

 

事実婚のような状態のことです。

 

内縁については、できるだけ婚姻届を出している夫婦と同様の保護を与えるということになっています。

 

ただ、今回のケースでは、亡き父には妻はいませんが、相続人となる子供はいます。

 

相続人がいるような場合には、愛人には相続の権利はありません。

 

妻も子供もいない場合はどうでしょうか。

 

2-2 妻子がいない場合の内縁の妻の場合〜相続権利は?

 

内縁関係の相手は、どんなに一緒に暮らして生活を共にしていたとしても、妻や子供などの法定相続人がいる場合には相続の権利はありません。

 

ですが、法定相続人がいない場合には、相続できる可能性が出てきます。

 

本来、故人(被相続人)に相続人が一人もいない場合、故人の財産は国のものとなります。

 

しかし、故人が特別に親しく交際していた人(特別縁故者)がいる場合、その方には財産の全部または一部が与えられることがあるのです。

 

この場合には内縁の妻は特別縁故者として財産分与請求を家庭裁判所に申し立てることができます。

 

さまざまな事情を考慮して財産分与が認められるかどうかが判断されます。

 

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3. 亡き父が愛人にマンションを購入したり資金援助していたケース

 

先日父が亡くなり、携帯や父のカバンなどを整理していたら父に愛人がいることがわかりました。

 

さらに、愛人の携帯電話は父が契約して、父が支払いをしていたため、愛人を特定することもできました。

 

問題はそれだけではありません。

 

さらに父の通帳などを調べてみると、愛人に対して月10万円を振り込み、中古マンションまで買ってあげていたのです。

 

父が購入したマンションについて愛人に聞くと、自分で購入したもので、名義も自分、そして現在は売りに出していると。

 

確かに、マンションの所有者は愛人になっています。

 

どうにかして父が愛人に貢いだお金やマンション資金を取り返したいのですが、お金を取り返すことはできるのでしょうか。

 

3-1 愛人へ貢いだお金は取り戻せる?故人が贈与した場合は取り戻せない

 

亡きお父さんが、本当に愛人に対してマンション資金を出してあげて購入していたとしても、本人の意思でお金を贈与したのであれば、愛人はお金を返還する義務はありません。

 

マンション自体も、愛人名義になっているのであれば、愛人のものですから売りに出すことも愛人の自由です。

 

また、月10万円の援助金も同様です。

 

愛人からお金を取り返すことはできません。

 

ただ、亡き妻がいる場合には、不倫の慰謝料請求ができます。

 

お母さんが亡くなっている場合には、慰謝料請求もできません。

 

4. 愛人がいる場合の対処

 

相手が愛人だけに、当事者同士が冷静に話し合うことが難しくなります。

 

弁護士や第三者を間において、すみやかに解決してもらうのが望ましいでしょう。

 

また、いくら言っても相続する権利がないのに故人の通帳を返してくれないとか、勝手に故人の預貯金を引き出して使い込んでいるような場合にも、すぐに専門家などに相談してください。

 

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