社員研修で座禅を強制!拒否できますか?

あこがれのA商社に入社した高見さん。

新入社員は入社式後、社員研修が義務付けられています。

研修担当の田中さんに尋ねたところ、研修は2泊3日で、毎日1時間、禅寺で座禅をするとのこと。

仕事と座禅の関連性がわからないと言うと、「集中力を磨くためだよ。」と言うのです。

しかし、高見さんは熱心なクリスチャン。

クリスチャン以外の人も嫌がっています。

お寺の修行はどうしても我慢できません。

寺での研修を拒否できるのでしょうか?

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研修参加を拒否したら、解雇でしょうか。

それは、思想や宗教による差別になりませんか?

結果から言うと、

研修拒否はできないでしょう。

座禅は業務の範囲内であり、信教を妨げるというほどのことはないと思われます。

禅寺で座禅を行うのかもしれませんが、それほどの宗教色は感じられません。

高見さんが会社に入社したということは、つまり会社と高見さんの間で労働契約が結ばれているということになりますよね。

そうなると、会社は就業規則に基づいて、社員である高見さんに業務命令を出すことが可能になるのはわかりますよね。

しかし、だからといって、会社はどのような命令を出してもいいというわけではありません。

どんな命令なら許されるの?

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その命令と業務の間にきちんとした関連性があること。

また、目的や理由が正当であることが認められなければ命じることはできません。

社員研修で行われる「座禅」が正しい業務命令かどうかというのはその研修の日数やカリキュラムなどの内容次第だということになります。

一日中、座禅を組ませる、山を歩かせるなど業務とは直接関係のないカリキュラムばかりだったり、終日就業規則を書写させるといった研修は、「正当な業務命令」の範囲を超えているといっていいでしょう。

社員に与える身体的・精神的苦痛が業務の必要性を超えていると考えられるからです。

「体の鍛錬」や、「集中力を磨くこと」は仕事にプラスになるでしょう。

そういった側面から考えると、多少身体的・精神的苦痛が伴ったとしても、それだけで違法だ!!ということはできないでしょう。

たとえば、2泊3日の研修の中に3時間ほどのハイキングが組み込まれていたなどの場合、新入社員の親睦もかねてという意味合いもあると思います。

つまり、身体的・精神的に過度の苦痛を与えるような研修は認められないけれど、適切な比率で業務と関係がないカリキュラムが入っている場合には業務命令の範囲内と認めることができ、違法性があると言えないのです。

行った研修が適正なもで参加をしなかったら

業務命令に従わなかったという理由で処分されることもあり得ます。

研修中にあれは嫌、これは嫌と命令に従わない行為を重ねてしまえば、解雇になるといったケースもありますから、注意が必要です。

座禅の場合には、個々の信仰に関係なく、精神統一や精神修行を目的に、個人的にお寺に通う人もいますし、研修など多くの場面で取り入れられています。

そのような目的で行うのであれば、今回のケースでも、一概に研修を拒否する正当な理由としては認められないと思われますし、他の宗教行為を強制されたとは言えないでしょう。

しかし、多くの場合そうではないと思いますが、宗教色があまりに強い研修だった場合には、高見さんは信教の自由を理由として参加を拒否することは可能だと思います。

会社としても強制はできないでしょう。

今回は高見さんが社会人として、座禅を研修として受け入れることができるかどうかという、個人の許容範囲の問題にもなると思います。

これは本当に難しい問題です。

法律的にかたく考えてしまうと宗教の自由とか、思想や信教の差別だとかいろいろ問題はあるでしょう。

争うとなると複雑になってしまいます。

人それぞれ信じるものや考えることは違うのですから。

日本の社会は本音と建前の社会。

それがいいか悪いかは別として、研修参加を拒んだら、高見さんへの評価はあまりいいものでなくなる可能性があります。

日本の社会は「和を以って尊し」みたいな考え方がありますから、うまくやれない人だと判断されて、人事考課に影響してしまうかもしれません。

個人の信条はもちろん大切であり、尊重されるべきものです。

しかし、柔軟に対応できるところは対応していくことも社会人としてのマナー。

これから社会人生活を送る中で、結婚式や葬儀など、様々な宗教儀式に参加することになります。他の人の信じる宗教にも尊敬を払うという態度が求められます。

高見さんのこれからの活躍をお祈りいたします。

入社前の事前研修に行けない場合

余談になりますが、入社前の内定者が事前研修に参加するように言われた場合、断ることは果たして可能なのでしょうか?

時折、内定をもらった会社の事前研修に参加するように言われたが、同じ日に卒論の発表会で大学に出席するように言われており、「研修に参加できない。」と伝えたところ、「内定を取り消してもいいのか!!」と怒鳴られたという話を聞きます。

この場合、会社と内定者はまだ労働契約を結んでいません。

そのため、会社が業務命令を出す権利はありません。

内定者を研修に参加させるには本人の同意が必要とされます。

今回のように学業に支障が出る場合などは、内定者は研修を断ることができますので安心してください。

その場合に、会社が内定を取り消すなどの行為をするのは違法とされていますから、会社のいいなりになることはなく、最後までしっかり学業に専念してほしいと思います。

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