入社誓約書を提出した会社を断り第一希望の会社に行くことはできるのか?

 第一志望の会社に行きたい、断れる?

渋澤くんは就職活動中です。

先日面接を終えた春来社から、きょうめでたく内定通知が届きました。

春来社の人事担当者に呼ばれ、会社を訪れた渋澤くんを待っていたのは人事部長。

部長に促されるままに渋澤くんは「入社誓約書」を書いて提出しました。

ところが2日後、とても無理だろうと思っていた第一志望の花咲社から内定の通知が届いたのです。

「やったー!!」渋澤くんは大喜び。日に日に花咲社への入社に心が膨らみます。

しかし一方で、春来社に提出した「入社誓約書」のことが気になって仕方ありません。

同じ法学部である友人の田中くんに相談したら「入社誓約書を出したら労働契約が成立するという判例があるということは渋澤も知ってるよな。」と言われてしまいました。

渋澤くんも契約解除には損害賠償が付きものだということは理解しています。

渋澤くんは深いため息をつきました。

はたして渋澤くんは花咲社へ無事に入社できるのでしょうか?

就職内定率が上がっているとはいえ、まだまだ就職は厳しいですよね。

リクルートスーツに身を包み、真剣な表情で入社試験に臨んでいる姿を見ると、思わず「がんばれ」と声をかけたくなります。

渋澤くん、第一志望の花咲社、さらには第二志望の春来社への内定がいただけるなんて、本当によかったですね。

ですが、本命の花咲社からの内定通知がほんの少し後だったために悩むことになってしまったのです。

口頭で入社の意志を伝えるだけで誓約書の提出のない会社がある一方で、きっちり誓約書を書かせる会社もあるようです。

これは内定通知を出したにもかかわらず、応募者が辞退してしまい人材を確保できないといったことを防ぐためで、誓約書を書かせて辞退しにくくするという対策でもあるわけです。

田中くんが言うように、「入社誓約書を出したら労働契約が成立する」というのは本当で、法的な効力を持ちます。

それでは・・・渋澤くん、ここで落ち着いてよく考えてみましょう。

「入社誓約書」で「労働契約が成立」するのであれば、「内定辞退」で「労働契約の解除」はできないのでしょうか?

実際に労働契約を結んで働いている私たち労働者には「退職の自由」というものが認められています。

各社の就業規則によって退職の申し出の期間は様々でしょうが、法律では退職したい旨を伝えて2週間経てば、使用者の承諾がなくても労働契約の解除は成立するということになっています。

さらに付け加えれば、会社が労働契約を守らない人に対する損害賠償や違約金を事前に決めるということは労働基準法で禁止されています。

ということは・・・

渋澤くんは春来社に誓約書を提出しているので「労働契約が成立」しています。

しかし、「労働契約の解除の意志表示をする」ことで、その日から2週間経てば春来社の承諾のある無しにかかわらず、「労働契約の解除」ができるのです。

「断れない」と、泣く泣く第一志望をあきらめてしまった方がいらっしゃるかもしれませんね。

しかし、誓約書を出してしまっていても辞退はできるのです。

もちろん、モラルに欠けると思われてしまったり、社会人としてどうなんだと言われたりすることはあるかもしれません。

誓約書を出してからでも辞退はできるけれど、もし時間がいただけるようであれば、他の結果を待ってから誓約書を提出するようにしたらいいのではないかと思います。

辞退の時期が遅すぎると、会社側も予定が狂い、採用をやり直さなければなりませんから、場合によっては損害賠償を求められることがあるということも頭に入れておいてくださいね。

会社にとっても本当に迷惑なことですから当然ですよね。

労働者の権利を主張するのは当然のことです。

ですが、自分が応募して受けた会社であり、内定をくれた会社なのです。礼儀を守り、誠意を持って対応し、トラブらないようにしなければなりません。

断りにくいから、心苦しいからと先延ばしにせず、内定辞退の連絡は一日も早くするようにしましょう。

私が知っているところでは、入社を約束しておきながら、入社式当日にすっぽかして来なかったというトラブルがありました。

そうなると、損害賠償の請求があるかもしれませんし、彼の出身大学には求人が来ないなど、周囲にも迷惑が及ぶのです。

断ったからと罵られることはありませんから、会社に納得してもらえる理由を誠実に伝える努力をするようにしましょう。

新卒採用の場合はさほど大きな問題にならない内定辞退ですが、これが役員とか重役待遇の入社となるとそうはいきません。

そういった人の入社に合わせて会社も組織改変をはかるなど様々な準備をするでしょう。

それなのにドタキャンされたらどうなる?

準備にかかった費用や労力に対しての損害賠償を求められても仕方ありませんね。

渋澤くんにはこういった心配はありません。

こちらの会社とあちらの会社、どちらにしよう?

天秤にかけた上で悩みに悩んで辞退するということは今や珍しいことではありません。

せっかくうちの会社の戦力になってくれると思ったのに・・・

と採用担当者はがっかりするかもしれませんが、彼らも採った人が100パーセント入社するとは思っていないはずです。

内定をもらった会社をよくよく比較して、「やはり自分はここの会社に行きたい。」という結論が出たら他は誠意を持って早目に辞退の意を伝えるべきだと思います。

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