上司に仕事と関係のない私事を干渉・説得される!これってパワハラでしょ!!

スクリーンショット 2016-05-23 14.31.04スター社の社員秋吉さんはB社の専務である永田さんから所有マンションの一室を2年間の契約で賃借していました 。

契約期間の満了が近づいたある日、永田さんは秋吉さんに期間満了を機に部屋を明け渡してほしいと申し入れました。

秋吉さんは期間の更新をお願いしましたが、永田さんは明け渡してほしいの一点張り。

話し合いは平行線をたどるばかり。

秋吉さんがたまりかねて知り合いの弁護士に相談すると、永田さんが更新を断るには正当な理由が必要だとのこと。

そうでなければ自動的に更新になるとのことでした。

永田さんからは特に正当な理由が示された記憶はありません。

「そうか、だったら出ていくことないのだ。」

そこで秋吉さんは 部屋を借り続けることにしました。

実はB社はスター社と取引関係にあります。

永田さんはスター社の佐藤取締役と知り合いなのでした。

そこである日 佐藤取締役に電話をかけ、事情を話して秋吉さんにマンションを出ていってくれるよう説得してもらえないかとお願いをしたのです。

佐藤取締役はB社が得意先であることから、何とか永田さんの役に立ちたいと考えました。

ある日勤務時間中に秋吉さんを会議室に呼び出しました。

そして「永田さんが困っているから、君、立ち退いてくれないか?」と言ったのです。

突然上司からお願いされた!!

 秋吉さんはプライベートな事柄について、佐藤取締役からいろいろと言われること自体納得がいかず、

「私は立ち退きなどいたしません。」と言い、佐藤取締役の説得には応じませんでした。

秋吉さんの直接の上司である鈴木課長は、佐藤取締役からこの話を聞き、「今こそ佐藤取締役にアピールするチャンスだ。」と考えました。

そこで早速秋吉さんを勤務時間中に会議室に呼んだのです。

「君、B社が我が社のお得意様であることは知っているだろう?会社の取引関係もあるのだから一刻も早く立ち退くべきだよ。」と説得し始めました。

鈴木課長は必死であり、その説得は何日にもわたり、数時間に及ぶこともありました。

もう仕事どころではありません。

秋吉さんは 私事について毎日しつこく説得されることに納得がいきません。

とうとう社内のハラスメント相談窓口に相談しました。

プライベートなお願いに上司がからむとパワハラでしょ!!

佐藤取締役と鈴木課長のこの行為に問題はあったのでしょうか?

また、相談を持ちかけた永田さんの行為は違法でしょうか?

しつこいですね。仕事中に呼び出され、仕事と全く関係のないことで何時間も何日も説得をされるなんて本当に考えただけでウンザリです。

私も秋吉さんのようにハラスメント相談窓口に駆け込むと思います。

さあ、このケース、

結果から言うと「仕事と関係のない私事への干渉はプライバシーの侵害の恐れ」があります。

今回のケースでは佐藤取締役と鈴木課長の説得が会社においてゆるされる行為なのかということと私事についてのアドバイス行為がはたしてどこまでゆるされるのかが問題になるのではないかと思います。

もうひとつ気になるのがこの騒動の発端を作った永田さんです。

私には永田さんが自分の職務上の地位を利用して手を回したように思えて仕方ないのです。

地位の濫用ではないのか、またこうやって他人にまで秋吉さんとの問題を話し、騒動を起こしていることから、秋吉さんへのプライバシーの侵害にならないのかという問題も気になります。

社員の私生活上の問題といってもいろいろあります。

例えば退社後、万引きをしたとか酒を飲んで運転したなどの素行不良の他に、今回のケースのように微妙に会社が関連するような事情がある場合に問題が起きたりします。

普通は社員に対し、会社は業務に対してのみ業務命令として命じることができます。

私事に対してまで何かを命じるということは通常ではありえないのです。

もし、できたとしてもそれはアドバイスであるとか、要請のレベルでできるだけであって強制はできないのです。

今回のケースでは秋吉さんにとっても永田さんにとっても個人的な問題であって、会社の取引とは全く関係がないでしょう。このようなことにたとえ秋吉さんの上司であっても業務命令をすることはできませんよね。

過去の裁判で今回のケースのように部下の借りていた住居の立ち退きに関して上司が立ち退きを執拗に説得したことが不法行為だとして争った事例があります。

上司が部下を説得したからといって即違法ではありません。ある一定の節度があった場合には、多少部下が違和感や不快感を覚えたとしても違法とは言えないようです。

つまり秋吉さんに対し、助言にとどまる行為をするのであれば法的には許されるものと考えられます

今回のように部下である秋吉さんが弁護士にも相談し、永田さんとの賃貸借契約のトラブルについて一定の考えを持ち、自分の責任で決断しているのにもかかわらず、佐藤取締役や鈴木課長のように会社や自分の都合で、会社における地位を利用して立ち退きを執拗に迫ることは秋吉さんの自己決定の自由を侵害するものとして違法と判断されることが多いようです。

問題ないケースとは

例えば、秋吉さんが自ら佐藤取締役や鈴木課長に「B社の永田さんと賃貸のことで話し合いがつかなくて困っている。」などと相談したのであれば、その相談に乗る行為は全く問題ないと思われます。

では、会社とは関係がない自分が所有している不動産の賃貸借に関して、仕事場のつながりを利用してその問題を解決しようとした永田さんの行為には問題はないのでしょうか?

通常就業規則には「業務上の関係を私事に利用してはならない」という内容の規定が入っていると思われます。

今回のケース

つまり今回のケースは就業規則違反であるとも考えられます。

「いや、うちの会社にはそんな規則はないよ。」と言う人があるかもしれません。

たとえ就業規則に規定がなくても、このようなことは誤解やトラブルをまねく行為ですから控えるべきだと思います。

また秋吉さんとの賃貸借契約書のトラブルを秋吉さんに無断で秋吉さんの属するスター社の取締役に伝えたという事はプライバシー侵害になり得ます。

今回のトラブルの原因はそもそも私事を業務上の関係を利用して解決しようとした永田さんの自己中心的な行為です。永田さんが安易に秋吉さんとのトラブルを全く関係のない佐藤取締役に話したことも個人のプライバシーへの意識が足りないと言わざるを得ません。

「業務上の秘密」を「個人的に」漏洩すること自体が守秘義務違反ということは誰でも知っています。

会社によっては誓約書を書かせたりします。

しかし逆に「個人的に知った」秘密を「業務に関連して」漏洩することが違法になり得ることを意識している人はあまりいないのではないでしょうか。

スター社の佐藤取締役と鈴木課長の行為もこうした意識の欠如が原因だと思います。

就業規則はその文章だけではなかなかわかりにくいものです。

具体例を示すなど社内研修やマニュアルでの周知がのぞまれます。

何度も言いますが、私生活上の行為についての説得がただちに違法になるわけではありません。

判断は難しいと思いますが、ひとつの基準として、本人が一定の結論を出しているのに翻意をしつこく迫るような行為は違法となる可能性が高いと考えた方がいいでしょうね。

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