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加害者に対して請求できる人は?

死亡事故の場合、被害者である本人が亡くなられてしまっているため、誰が加害者に損害賠償請求するのか?という問題があります。

 

請求者は死亡者の法定相続人となり、法定相続分に応じて請求権を持つ事になりますが、法定相続人が何人もいる場合などでは、争いが起こるケースもあります。

 

そこで、まずは法定相続人になる人やその順位について確認しておきましょう。

 

・順位1(夫が死亡で妻子がいる場合):妻2分の1、子2分の1
・順位2(夫が死亡で子がいない場合):妻3分の2、夫の親3分の1
・順位3(夫が死亡で妻と夫の兄弟しかいない場合):妻4分の3、夫の兄弟4分の1

遺言書があった場合

また、遺言書があった場合はどうなるのか?

 

これに関しては、遺言書の内容を見ればわかりますが、遺言書作成時には損害賠償金が財産とされることなど想定されておらず、財産目録には存在していませんね。

 

つまり、損害賠償金にまでは遺言の効力は及ばないものだと考えます。

 

なお、損害賠償金の中でも死亡慰謝料については、法定相続人ではない親族にも認められています。

 

例えば、夫が亡くなり妻子が相続人となるケースでは、夫の親も慰謝料については請求権が認められるという事です。

 

また、内縁の妻などにも認められた判例があり、相続人だけが全額をとれるわけではありません。

 

このように、慰謝料に関しては近隣者も請求権が認められるため、争になることもあります。

 

この点は注意しておき、話し合いでの解決が望ましいでしょう。


いつ示談交渉をスタートさせるのか?

亡くなられた方の葬儀が終わり、49日が終わってからスタートするのが適当だと思います。

 

そんな早い時期から加害者である相手と向き合いたくないと思われるかもしれませんが、損害賠償請求権の消滅時効は3年です。

 

また、保険金請求権も3年で消滅しますから、適当な時期に示談交渉をスタートさせましょう。

 

中には、加害者が刑事事件で起訴か不起訴か、執行猶予がつくかどうかの問題から、一刻も早く示談開始を求めてくる事もあります。

 

その場合にも、感情的にならず、冷静な判断で対処しましょう。

 

また、逆に加害者からの連絡が全く来ない、こちらの連絡に応じないなど、いつまでたっても交渉開始ができない場合もあります。

 

その場合には、内容証明を出したり、法的な手段を取らざるを得ないケースもあります。

 

何かしらの問題が起きた場合には、一度弁護士などに相談してみて下さい。

 

更に、相続人の間で交渉を誰がおこなうかについて、揉めるケースもあります。

 

話し合いで決めて代表者を選べればいいのですが、お金が関わる問題だけに信用がおけないなどの事情がある場合には、交渉前の時点で相続人全員で口座を作っておくといいでしょう。

 

そして、そこに損害賠償金を振りこんでもらうようにしておけば、誰かが勝手に単独で引き落とす事ができません。

 

交渉中などに相続人内で揉めた場合は、このような対策をしておくことをお勧めします。

死亡事故の場合、どのような損害が請求できるのか?

大きく分けると下記の3項目になります。
@積極損害(葬儀費、死亡までの治療費等)
A逸失利益
B慰謝料

 

では、自賠責基準と弁護士会基準を参考にして具体的に見て行きましょう。

 

<死亡事故の支払い基準>

 

なお、死亡事故の場合も任意保険では各会社の支払い基準があります。
各会社の基準をもとに損害賠償額を算出し、提示してきます。
その基準は、一般的には弁護士会基準のものよりは低くなっています。

 

提示額が妥当かどうかを判断するためには、まずは弁護士会基準をもちいて損害賠償額がいくらになるかを計算してみるといいでしょう。

死亡事故の損害賠償額

死亡事故の損害賠償額−計算例

 

では、実際にシュミレーションしてみましょう。
1.死亡事故を自賠責基準で計算
『積極損害+逸失利益(消極損害)+慰謝料(入院)×(100%−被害者過失割合) 』

 

<条件>
条件:車同士の事故、被害者は35歳、死亡、過失割合は被害者20%・加害者90%、被害者月収40万円

 

@積極損害:合計:60万円
・葬儀費、祭壇料や埋葬料、会葬礼状費など:60万円(原則)

 

A逸失利益:5309万8080円
(収入額-生活費控除率)×死亡時年齢に対応するライプニッツ係数
=40万円×12ヶ月×(1-0.3)×15.803=5309万8080円

 

B慰謝料:合計1200万円
・被害者本人の慰謝料  350万円
・遺族慰謝料請求権者(被害者の配偶者及び子):2名の場合の650万円+被扶養者がいるので200万円が加算=850万円

 

『自賠責での損害賠償額』=@+A+B×(100%−被害者過失割合20%)
=6569万8080円×80%=5255万8464円

 

2.死亡事故を弁護士会基準で計算
『積極損害+逸失利益(消極損害)+慰謝料(入院)×(100%−被害者過失割合) 』

 

<条件>
条件:車同士の事故、被害者は35歳、死亡、過失割合は被害者20%・加害者90%、被害者月収40万円

 

@積極損害:合計:150万円
・葬儀費、祭壇料や埋葬料、会葬礼状費など:150万円

 

A逸失利益:5309万8080円
基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
=40万円×12ヶ月×(1-0.3)×15.803=5309万8080円

 

B慰謝料:合計2900万円
・被害者本人の慰謝料  2900万円

 

『自賠責での損害賠償額』=@+A+B×(100%−被害者過失割合20%)
=8359万8080円×80%=6687万8464円

 

但し、弁護士会基準は弁護士に依頼して可能となる額でもあります。
個人でこの金額を交渉する事も可能ですが、3つの支払い基準の中では一番高額となる計算ですから、難しい部分もあります。

 

まずは自分で弁護士会基準を用いて計算してみましょう。
そして、保険会社の提示額が弁護士会基準のものより70〜80%程度の金額であれば示談に応じる範囲ではあります。

 

ただ、もう少し自分で交渉を行うか、弁護士に依頼すれば、弁護士会基準の計算に応じてくれる可能性もあります。

 

しかし、訴訟以外の示談交渉では、被害者側も譲歩して均衡を図る必要があるため、きっちり弁護士会基準での損害賠償額が取れるとは限りません。

 

つまり、双方の提示額の差が2,3割などの場合、中間あたりまで譲歩するなどを考えなくてはいけません。

 

なお、死亡事故の場合、損害賠償額が高額になればなるほど交渉次第では最終額に大きな開きがでます。

 

よって、弁護士費用を差し引いても、弁護士へ依頼したほうが結果的には自分の手元にくるお金が高くなるケースが多くあります。

 

また、計算が難しく感じたり、決めどきの判断が難しい場合、交渉が上手くいかないなどの場合は、弁護士などに一度相談してみるといいでしょう。
県や市では交通事故相談所の窓口もあり、無料で相談できます。

 

日弁連交通事故相談センターなどでも交通事故の相談を受け付けています。

 

その際には、葬儀費用のなどの領収書、本人の収入の証明書、その他必要な資料などを揃えて相談に行きましょう。
これらの資料は、自分で交渉を行う時にも必要になります。
交渉開始前には揃えておくようにして下さい。

 

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